Q. 糖尿病ってどんな病気?

A

血液中のブドウ糖の量(血糖値)の調節がうまく行えないために、血糖値が高い状態(高血糖)が続いている状態です。

血糖値が高いときに感じる主な症状
  • 多尿
    尿の量が増えます。
  • 口渇
    のどが渇きます。
  • 多飲
    水分をとる量が増えます。

症状にあらわれ方には個人差がありますが、糖尿病初期の段階では、自覚する症状がほとんどないまま高血糖の状態が続いています。

Q. 自覚症状は無いのですが、治療は必要ですか?

A

自覚症状がなくても、血糖値が高い状態が続くと全身に様々な合併症を生じます。 合併症を予防する為に、糖尿病をきちんと治療する必要があります。

主な合併症
細い血管におこる合併症
  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病腎症
  • 糖尿病神経障害
太い血管におこる合併症
  • 脳梗塞
  • 狭心症・心筋梗塞
  • 閉塞性動脈硬化症

細い血管におこる合併症は「糖尿病の三大合併症」といわれ、糖尿病に特有の合併症です。
合併症が進行すると、透析や失明、足の切断などにいたることもあります。

Q. 血糖値は、体のなかでどのように調整されているのでしょうか?

A

主に、膵臓(すいぞう)にある膵島(すいとう)とよばれる部分から分泌される「インスリン」や「グルカゴン」などのホルモンによって、バランスよく調節されています。

  • インスリン…血糖値を下げるホルモン
    食事によって血糖値が上がるとインスリンがたくさん出て、血糖値が下がります。
  • グルカゴン…血糖値を上げるホルモン
    空腹によって血糖値が下がるとグルカゴンがたくさん出て、血糖値が上がります。

血糖値を調整するホルモンには、ほかにも「インクレチン」などがあります。

Q. インクレチンとは何ですか?

A

インクレチンは、食事中の炭水化物の量に応じて小腸から分泌されるホルモンです。血糖値が高いときだけ膵島(すいとう)に働いてインスリンを出し、血糖値を下げる作用があります。 インクレチンの多くは、膵島(すいとう)に届く前にDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)と呼ばれる酵素によって分解され、働きを失ってしまいます。 分解されずに膵島へ届いたインクレチンが、血糖値を下げる方向に作用します。インクレチンには、ほかにもグルカゴンが出るのを抑える作用もあります。

Q. 糖尿病はどうして血糖値が上がったままなのですか?

A

インスリンの分泌量が少なかったり、働きが悪化するために血糖値が上がったままになります。 分泌量が少ない原因として、インクレチンの作用低下が指摘されています。 通常は、インスリンの働きによって血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されるため血糖値が下がります。 しかし、糖尿病では血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれにくいため、血糖値が下がりにくく、高血糖の状態が続いています。

Q. 治療にはどのような物がありますか?

A

治療の基本は、食事療法運動療法によて血糖値を下げる事です。 2つの治療法を続けても血糖値が高い場合には、薬物療法を追加します。
正しい食事療法と運動療法は、食後の血糖値を抑えたり、インスリンの働きを良くする効果があります。 お薬での治療が始まっても、3つの治療法をすべて行うことが大切です。

Q. 食事と運動は、どの様な事に気をつければいいですか?

A

適切な量でバランスの良い食事と、自分に合った運動を続けましょう。

食事・運動療法のポイント
食事療法
  • 食事療法は、誰もが必要な基本的な治療法です。
  • 太らず、痩せすぎず、適切な量の食事をとりましょう。
  • 過食や偏食をせず、色々な種類の食品を、バランス良く食べましょう。
  • 朝昼夕、毎日規則正しく食べましょう。
運動療法
  • 運動療法は、主治医の指示に従って、自分の合った内容を続けることが大切です。
  • うつでも、どこでも、気軽にできる運動を、日常生活に取り入れましょう。
  • 筋肉の疲労が起こりにくく、続けやすい有酸素運動(散歩、ジョギング、水泳など)を中心に行いましょう。

Q. お薬にはどんな種類がありますか?

A

血糖値を下げる飲み薬と注射薬があります。 作用の違いによって、いくつかの種類に分けられます。

糖尿病の治療薬
薬の種類 特徴
インスリン分泌促進薬 肝臓を刺激して、インスリンを出す。
インスリン抵抗性改善薬 インスリンの働きを良くする。
食後過血糖抑制薬 食事からの糖分の吸収を穏やかにし、食後の血糖値を抑える。
インクレチン関連薬 血糖値が高いときだけ、インスリンを出し、グルカゴンが出るのを抑える。
インスリン製剤 注射によってインスリンを補充する。

インクレチン関連薬は、インクレチンの作用を利用したお薬です。 血糖値が高いときだけ血糖値を下げる、新しいタイプの血糖降下薬です。

Q. 普段の生活で気をつけることはありますか?

A

血糖値が下がりすぎてしまう低血糖に注意してください。 低血糖の症状を感じたら、進行させないために、すぐに糖分(ジュースや砂糖など)を補給しましょう。

強い空腹感、脱力感、冷や汗、顔が青白い、手足の震え、動悸、気分が悪いなど

頭痛、眠気、強い疲労感、めまい、言葉が出ない、動作がぎこちない、物が見えにくいなど

意識を失う、けいれん、昏睡状態になる

低血糖は、「薬の種類や量を間違えた」、「食事が遅れたり量が足りない」、「長時間強い運動をした」、「お酒をたくさん飲んだ」などによって引き起こされます。 糖分をとっても症状がおさまらない場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。