運動療法

運動療法は、糖尿病のさまざまな症状を改善し、さらに動脈硬化の予防などの点でも効果があります。 しかし、進行した合併症がある時には、運動によって病状を悪化させてしまうこともあります。 運動療法を行う際は、まず主治医と相談し、自分に合った運動と運動量を決定し、決して無理をせずに自分の体と相談しながら適切な運動量を持続することが大切です。
主治医と相談しましょう
どのような運動をどの程度すればよいのかは。個々の患者様によって異なります。 運動を始める前に主治医に相談しましょう。
有酸素運動でエネルギーをしっかり消費しましょう
- 有酸素運動(散歩、水泳、ジョギングなど)でエネルギーを確実に消費する。
- 少し汗ばむ程度の運動量で20分以上、週に3〜5回、食後1〜2時間に行う。
無理せず、適切な運動量を継続しましょう
食事療法

糖尿病は食事からとった栄養が変化したブドウ糖が血液中に多くなる病気です。 したがって、食事の量や栄養素の配分を調整することにより、血糖をコントロールすることが出来ます。 また適切な食事は「インスリンの作用不足」を改善する効果が期待できます。運動療法や薬物療法を行う時にも食事療法は必ず一緒に行います。
自分の適切なエネルギー量を知り、とりすぎに注意しましょう。
一日に必要なエネルギー量に見合った摂取量を守ることが大切です。適切な摂取量は、個々の患者様によって異なりますので、主治医に相談しましょう。
目標は1日30品目以上
指示されたエネルギー内で炭水化物、タンパク質、脂質のバランスをとり、適量のビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
食事は1日3回、規則正しくとりましょう
不規則な食事は血糖値の変動を大きくし、膵臓にも負担をかけます。食事は規則正しく、ゆっくりとよく噛んで食べましょう。
薬物療法

食事療法と運動療法を行っても血糖コントロールが不十分な場合、薬物療法を併用します。 薬物療法には、飲み薬とインスリン注射薬があり、従来は飲み薬の効果が弱い場合にインスリン注射薬を使用していましたが、現在では、早い時期からインスリン注射を使用して、血糖コントロールを良好に保つ方法も積極的に行われています。 インスリン注射薬と飲み薬を一緒に用いたり、インスリン注射薬から飲み薬に変える場合もあります。
インスリン療法
インスリン療法とは、糖尿病患者様の体内で不足しているインスリンを注射で補う治療法です。
膵臓からのインスリン分泌には、一日中ほぼ一定量が分泌される「基礎分泌」と食事などの血糖値の上昇に応じて分泌される「追加分泌」があります。
1型糖尿病では「基礎分泌」と「追加分泌」がともに障害されています。
2型糖尿病では主に「追加分泌」が障害されており、さらに進行すると「基礎分泌」も障害される場合があります。
インスリン療法では「基礎分泌」と「追加分泌」からなる健康な人のインスリン分泌パターンを再現することを理想としており、そのため適切なタイミングで、適切な量のインスリンを注射する必要があります。
薬物療法をスタートする流れ

早期インスリン療法
インスリン療法は、健康な人と同じ理想的なインスリン分泌パターンを再現できる方法です。 最近では糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また、脳卒中や心臓病の予防効果を期待して比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いう場合があります。このように、インスリン療法は糖尿病治療の最終手段ではありません。 2型糖尿病の場合、一度インスリン療法を始めてしまうと一生続ける必要があるというのは誤解です。 主治医にインスリン療法をすすめられた積極的に受け入れるようにしましょう。