自己血糖測定(SMBG)では1日の測定回数に限度があり、24時間を通した総合的な血糖値を確認することは困難でしたが、 CGMなら24時間の血糖値を測定することが可能です。

CGMとは

CGM

糖尿病治療では、合併症の一つである低血糖を回避しながら高血糖を抑制するという、適切な血糖コントロールを行う必要があり、そのために、医師が患者様の血糖値変動を的確に把握する必要があります。 外来患者様の場合、一般的に患者様自身による自己血糖測定の値を用いていますが、1日の測定回数が限られ、測定時前後の傾向が確認できないため、1日を通しての総合的な変動傾向を把握することが難しいという課題がありました。特に、夜間就寝中などは自己測定が困難なことから、無自覚の低血糖症状や早朝に血糖値が上昇する「暁現象」といった大きな変動を見過ごす恐れがありました。

しかしCGM(持続血糖測定器)は、お腹などの皮下組織に専用のセンサを装着し、連続的に皮下のグルコース(ブドウ糖)濃度を記録する新しい検査方法で、今まで一般に用いられてきた1日に数回の自己血糖測定器による測定に比べ、測定回数が格段に多いことが特徴です。グルコース濃度の推移(変動)を見ることができるため、より適切で安全な糖尿病治療を行うための指標となることが期待されています。 厳密には血糖値を測定するものではありませんので、自己血糖測定器で得られた測定値を機器に入力して補正することが必要です。 この機器で測定した値は、血糖値とよく相関することが確認されていますので、実際の血糖値の変動をシミュレーションするものとして利用されます。 装置を取り外した後、モニタ部に記録されたデータをパソコンにダウンロードし、専用のソフトウェアを用いて様々な解析を行うことができます。また、この専用のソフトウェアにより、データを読みやすいグラフや表で表示することができ、主治医による解析を容易にしています。

CGM表

CGMでわかること

CGMを施行すると、糖尿病患者さまの血糖日内変動は、決して単純な動きではないことが示されます。 血糖日内変動が大きくても、それがHbA1cには反映されないこともあります。 食前血糖が100mg/dL前後で健常者と同様、HbA1cも「良」で、ほぼ満足のいくコントロールと判断していた患者様の血糖が食後に急激に上昇し、値が200mg/dLを大きく超え、一方で夜間睡眠中には低血糖域近くまで低下していることがあります。
こうしたことから、HbA1cは血糖値の平均値としてとらえるべきであることが実感でき、その値だけしか見ていないと、隠れている食後高血糖やHbA1cの数値上は高血糖を打ち消すように働く潜在性の低血糖、その両者をともに見逃してしまう可能性があります。

CGMの活用法

CGMは、皮下に細いセンサーをさして、血糖値を5分毎、24時間連続して測定することができます。 従来の測定方法では、「点」で結ばれていたグラフが、「線」で表示されるので、予測ではなく、より正確に血糖値を測定できるのです。 CGMを使うことで、今の糖尿病治療がうまくいっているかどうかわかりますし、これまでわからなかった隠れた食後高血糖や夜間睡眠中の無自覚低血糖などの問題点を見つけることもできます。
CGM検査は、血糖コントロールがなかなか安定しない人や、妊娠中の人、手術をする人など、血糖値が乱れやすい人に行います。

CGMのメリット

メリット1

自己血糖測定(SMBG)では一日の測定回数に限度 が合ったがCGMは24時間連続して測定可能。

メリット2

「夜間の無感覚低血糖」「食後血糖上昇」、朝方 の血糖上昇「暁現象」など確認可能。

メリット3

機器が小さく、端末操作の必要がない。 また、防水性も高く入浴も可能。

メリット4

血糖変動を正確に評価できるため、患者様それぞ れに合った治療計画をたてる事が出来る。

CGM検査の目安

  • 2型糖尿病患者様の策剤導入や変更時
  • インスリン治療中の血糖コントロール不良患者様
  • 夜間低血糖の確認が必要な患者様
  • 血糖変動が激しいBrittle typeの患者様
  • 糖尿病合併妊娠、妊娠糖尿病など食後血糖管理が大切な患者様
  • HbA1c 7%前後で1,5-AG低下の患者様(隠れた食後高血糖の存在)

※上記以外の場合でもご相談ください。